湯浅に春の訪れを告げる魚シロウオ。でもシロウオってどんな魚?

湯浅に春の訪れを告げる魚シロウオ。でもシロウオってどんな魚?

こんにちは。編集部の高垣です。
「シロウオって名前は聞いたことあるけど、どんな魚かよく知らないなぁ」という方も多いのではないでしょうか?今日は、水族館でお魚を眺めるのが大好きな私がシロウオについて紹介したいと思います。

シロウオは春になるとやってくる

シロウオはスズキ目ハゼ科の細く小さな透明の魚。漢字では「素魚」と書きます。シラウオ(白魚)と名前は似ていますが、シラウオはサケ目シラウオ科で全く別の魚です。ご覧の通り小さな魚ですが、これですでに成魚。シロウオは川で生まれる魚ですが、海へ出て育ち、また川に戻ってくる遡河(そか)回遊魚。海水と淡水の混ざる汽水域で孵化した後、沿岸域に下り成長し、1年後の春になると産卵のためにまた川を遡上してきます。毎年2月中旬頃になると湯浅町と広川町の間を流れる「広川」にも姿を現してくれます。

きらきら透明な魚 シロウオ

シロウオは体が透明なので、体の真ん中にあるうきぶくろがよく見えます。眺めていると、うきぶくろがきらきらと銀色に光って綺麗ですよ。

ハゼというと茶色っぽくてずんぐりしたイメージがあるので、透明でスッと細長い姿は一見ハゼ科の仲間っぽくないですが、胸びれの形や口の形をよく見ると確かにちょっとだけハゼに似ている気がするなーという感じ。でも、ミナミトビハゼの写真と見比べてみると全然似てないですね……。ただの先入観かな。

シロウオは大きな魚に見付からないようになのか、狭いところに隠れるのが好きみたいで、隙間があると潜り込んでいる姿をよく見かけます。水槽で展示する際には、隠れてお客様から見えなくなってしまわないよう、隠れ家となるような物はあえて入れずに展示しました。隙間に潜ると体がこすれて弱ってしまうこともあるようなので、水槽に入れて長く様子を観察したい場合は石等を入れない方が良さそうです。

残念ながら死んでしまったシロウオは、体の色が透明から白色に変わってしまいます。シロウオが透明なのは元気な証拠なんです。

湯浅の春の風物詩 シロウオ漁

毎年2月中旬から3月下旬頃、広川では「四つ手網」という特殊な網を使い、シロウオ漁がおこなわれます。満潮の約2時間前から網を沈めシロウオが網に入るのを待ち、シロウオが入ると引き上げます。潮の加減や天候等に左右されるため、漁は毎日おこなわれるわけではありません。そのため、漁がおこなわれていると、珍しい光景に足を止め、様子を見学・撮影している方を見かけることもあります。

これが湯浅の春の風物詩

シロウオ漁がおこなわれているのを見かけると、「また春が来たんだなぁ」と感じます。そのため、シロウオは春の訪れを告げる魚として親しまれています。

シロウオを守る 伝統漁法「四つ手網漁」

シロウオ漁は、川の中に組んだやぐらの上から四つ手網を川に沈め、産卵のために川を遡上してくるシロウオをすくいとる「四つ手網漁」という伝統的な漁法でおこなわれます。シロウオが通過しているのを見やすくするため、網のそばの川底に白い板を設置し、シロウオが網に入るのを待ちます。

網の中にたくさんシロウオが入ったところで網を引き上げ、柄の長いひしゃくを使い回収します。小さなシロウオを逃さないため網目が細かい網。水も一緒にすくってしまうためとても重く、網を引き揚げるための棒は左右にも振れる仕組みのためまっすぐ引き上げるのは簡単ではありません。網からシロウオを回収するのも、ひしゃくで網を叩きシロウオを1ヶ所に集めながら跳ね上がったところを上手くすくわなくてはならず、これも一筋縄ではいきません。

このように、熟練の技と経験が必要で、量も少しずつしか獲ることの出来ない四つ手網漁。決して効率の良い漁法とは言えませんが、一度にたくさん獲ってシロウオがいなくなってしまうことがないようにと考えられた伝統的な漁法です。

川面に揺れる灯りが幻想的なシロウオ夜漁

明るい時間に漁をすることがほとんどのシロウオ漁ですが、毎年1回程度、シロウオの夜漁がおこなわれます。広川に架かる広橋の上にはたくさんの方が夜漁を見ようと訪れます。四つ手網を引き上げる瞬間を写真に収めようとカメラを構える方々も。私も撮影に挑戦してみましたが、灯りの雰囲気や独特の漁法が伝わるよう上手に写すのは難しい!そして、やはり生で見る美しさにはかないませんね。

みんなが見守る中、漁師さんは四つ手網を操り、巧みにシロウオを獲っていきます。
漁師さん達の掛け声を聞きながら、春の夜風に吹かれ見るシロウオ漁。オレンジの灯りに照らされ、昼間の漁とはまた違った幻想的な雰囲気が楽しめますので、夜漁もぜひご覧ください。

春の訪れを告げるシロウオ 食べてみたい方は要予約!

こうして獲れたシロウオは、ぽん酢をつけて踊り食いで食べることが多いです。コリコリとした食感とぴちぴちと跳ねる活きの良さを感じられます。他にも炊き込みご飯や卵とじ、かき揚げ、すまし汁等も人気です。火を入れるとふっくらやわらか、優しい甘さで美味しいですよ。個人的には、シロウオの旨味がたっぷり染み出したおだしが決め手の卵とじがおすすめです。

シロウオが獲れる時期限定でシロウオ料理を提供しているお店もありますので、ここで少し紹介を!

1.日本料理 横楠
まずは横楠さんの踊り食い。桜とわかめがとっても春らしくて素敵ですね!

2.お食事処 海ひこ
続いて海ひこさんの踊り食い、卵とじ、かき揚げ。熱々サクサクのかき揚げは、軽く塩をふって素材の味をひきたてて。湯浅名物しらす丼付きのコースもされています!

3.割烹旅館 美よし荘
最後は美よし荘さんの卵とじ、かき揚げ、炊き込みご飯。こちらはコースのみでの提供です。シロウオを味わい尽くせるコースになっていますよ。

シロウオ料理の提供は仕入れの状況にもよりますので、事前に必ずお問合せをしていただき、ご予約をお願いします。どこのお店も、それぞれ工夫を凝らしたシロウオ料理が味わえますので、ぜひ訪れてみてくださいね!

毎年3月開催のシロウオまつりを要チェック!

毎年3月には「紀州湯浅のシロウオまつり」と題し、シロウオ料理を味わったり、シロウオすくいをしたり、四つ手網漁体験をしたり出来る楽しいイベントも開催しています。春が近づいてきたなーと感じたらシロウオまつりの開催日をチェックしてみてくださいね!

シロウオがどんな魚か伝わったでしょうか?

透明で小さく可愛い食べても美味しいお魚、それがシロウオ。シロウオを獲りすぎないよう昔から工夫している漁師さん達の努力のおかげで、私達は毎春シロウオを食べることが出来るんですね。でも、きらきら泳ぐ姿を見ているとどんどん愛着がわいてきて、食べるのがかわいそうになってきてしまいます。それでも最後は美味しくいただいちゃいました。今度は食べるばかりでなく、シロウオ漁体験にもチャレンジしてみたいです。

シロウオに興味を持った方は、ぜひ次の春にはシロウオを目でも味でも楽しみに湯浅町へ遊びに来てくださいね!