温暖な気候と豊かな海が育てる特産物

温暖な気候と豊かな海が育てる特産物

湯浅町といえば、醤油と金山寺味噌の町という印象が強いかもしれません。でも、実は他にもたくさんの特産品があるんです。豊かな海と緑なす山々が生み出す自然の恵みは、醤油や味噌にもひけをとらない逸品揃いです。

湯浅の山は柑橘類の宝庫

とりわけ農業分野では柑橘類が自慢です。湯浅は、全国でも有名なブランド温州みかん「有田みかん」の一大産地。中でも、湯浅町の田村地区で採れた物は「田村みかん」と呼ばれるほど、地元でも一目置かれている存在です。

5月頃にはみかんの花が咲き始め、甘くさわやかな香りを届けてくれます。その後、暑い夏を経て気温が落ち着くと、10月頃から極早生みかんの収穫が始まり、11月からは早生みかん、12月から年末にかけて温州みかん収穫の最盛期となります。この時期には山々がオレンジ色に染まり、鮮やかに色づいた果実を町のあちこちで見ることができます。

4つに割って食べる「有田むき」がこの辺りの定番の食べ方。割った部分をまとめて豪快に頬張ると、甘酸っぱい果汁と香りがじゅわりと口いっぱいに広がり、爽快感がたまりません!

そして、頭部が膨らんだ「三宝柑」も湯浅が誇る柑橘のひとつ。この三宝柑は江戸時代に和歌山城内にあったものが原木とされており、その美味しさや珍しさから三方(三宝)に載せ殿様に献上されたことから名付けられたと言われています。

現在では国内の9割以上が和歌山県内で生産され、そのうち約2/3が湯浅町で栽培されています。爽やかな甘味と香りが特徴で、3、4月頃が旬なことから、春を伝える食材としても使われています。

こうした柑橘類がおいしく育つのは、海が近いため温暖であることと、潮風が運ぶミネラル分があってこそ。環境に恵まれた豊かな土地だからこそ、適度な酸味と糖度を持つ、ジューシーな柑橘が育つのです。

海と川が育むおいしい湯浅の幸

また海に目を向けると、これまたおいしいものがたくさん揃っています。江戸時代には紀州一と呼ばれた湯浅の漁業に偽りなく、沿岸は海産物の宝庫。中でも豊富に穫れるのはアジやサバなどで、地元では秋まつりの時季に、サバを使ったお寿司「なれ寿司」が食べられています。

そして、ぜひ食してもらいたいのは県下トップの水揚げ量を誇る「しらす」。しらすは1年を通して水揚げされ、中でも4月から6月頃に黒潮に乗ってやってくるものを「春しらす」と呼んでいます。普段水揚げされているのは主にカタクチイワシの稚魚ですが、春しらすはマイワシの稚魚で、身がやわらかく脂がのっているのが特徴。

鮮度が問われる「生しらす」、獲れたばかりのしらすを大釜で茹で上げた「釜揚げしらす」、それを天日で干した「ちりめん」など、ぞれぞれのおいしさが揃います。鮮度抜群の素材が手に入る地元の特権を生かし、しらす丼を提供する飲食店も町内には点在しています。

さらにもう1つ、湯浅の特徴的な漁が、2月中旬から3月中旬頃にかけて行われるシロウオ漁です。シロウオはスズキ目ハゼ科の魚で、サケ目のシラウオとはまた別の魚。海水と淡水が混ざる汽水域である河口で産まれ、成長とともに海へ下り、産卵の時期になると再び河口に戻っていきます。

この辺りでは専用の網を使う「四つ手網(よつであみ)漁」で、川に組んだ櫓の上から四角い網を川に沈め、戻ってきたシロウオをすくい取ります。

川面に映える早春の光と白い網は、春の訪れを告げる風物詩。この時期限定でシロウオ料理もいただけます。

このように山の恵、海川の恵に醤油や味噌の町の恵も加わると、湯浅という町の豊かさが見えてきませんか?  特産物からも伺い知る、いろんな湯浅の表情を感じてみてください。