なぜ若者が山奥に集まるのか‼二ノ丸温泉が「サウナの聖地」と呼ばれる理由

こんにちは!ご無沙汰しております、編集部のあいりです。
突然ですが、ここはどこでしょう?

私がいるのは湯浅町に昔からある温泉施設二ノ丸温泉最近併設されたサウナ小屋前の川の中。
そうです、サウナで「ととのう」を初めて体感している様子です。


※サウナ小屋
小屋型のサウナルーム。設置する場所はもちろん、サウナの温度や機材を自由に選べる点が人気を集めています。


二ノ丸温泉は私たち地元民にとって親しみのある憩いの場であり、昔から知っている温泉施設。

の、はずなんですが!最近何やら若者が集まっているらしい。

町内にあるとは言え、山中にあるので町の中心地からでも車で約15分程かかる。
そんな場所になぜ若者が…。
しかも、県外の方も足繫く通っているらしいじゃないですか!


という訳で、気になった私は二ノ丸温泉を訪れたわけですが、


「百聞は一見に如かず」


私が体感した方が読者の皆さまにより信頼できる情報をお届けできるのではないかと思い、
サウナ小屋にきたわけです。

サウナ小屋の前に腹ごしらえ

少し時間を戻してみましょう。
二ノ丸温泉に到着した約1時間前にタイムスリップ…!

サウナ小屋を目がけてやってきた私を釘付けにしたのは、
まさかの、看板に書かれた

スパイスカレー

という7文字

ある方との待ち合わせ時間まで少し時間があったので、
誘惑に負けた私は注文することに…。


そして、お待ちかねの一皿がこちら!

店員さんが器を置いてくれた瞬間、鮮烈な香りが漂いました。
衝撃的なスパイスの風味に食欲がどんどん増していく感覚が今でも忘れられません。

一口食べてみると、これがまた美味い。
舌の上をピリピリと走る心地よい香辛料の刺激が口中に広がって、
二口、三口…もうスプーンが止まりません!

ポークビンダル―は口に入れると爽やかなお酢の酸味が広がり、
あとから追いかけてくる甘さがスパイスとよく絡んで美味しいんですよ。
キーマカリーは見た目以上に挽き肉の存在感があって食べ応え抜群でした。
そして、2種類のカレーが混ざった時に起こる旨味の化学反応が絶品でした。

サウナ小屋の取材に来たのに、想像以上にカレーが美味しくて
幸せな気持ちでいっぱいになりました。

極上のサウナ体験の先に待っていたもの

さて、ここで本題のサウナ小屋へ。
案内してくれたのは大阪でも人気のラーメン店「ストライク軒」のオーナー・芦田雅俊さん(アッシーさん)とそのお仲間たち。

二ノ丸温泉では関西で大人気の名店「ストライク軒」のラーメンが食べられるんですよ!
(ラーメンの美味しさについては、後ほど詳しくお伝えします!)

この日思いがけずサウナ小屋を初体験することになった私ですが、
手ぶらで行っても気兼ねなく体験できるのは嬉しいポイントでした。

二ノ丸温泉のレンタル水着(200円)に着替えて、準備万端!
館内着である作務衣を着れば、水着を着た状態で移動できるから楽チンです♪

さて、お目当てのサウナ小屋に到着です。
粋なデザインが目を引きますね。

早速、中へ入ってみましょう。

サウナ小屋
・水着着用で男女共用。
・利用料金は土・日曜、祝日は90分の時間貸し1人3,000円など(詳細はコチラ

初めはじんわりと汗をかく程度で余裕の表情でしたが、少しずつ温度が上がってきました。
通常のサウナが約80~90度に対して、こちらのサウナ小屋は120度まで上がるというから驚きです。

ここでお待ちかねのロウリュタイム
※「ロウリュ」…熱したサウナ石にアロマ水をかけて蒸気を発生させ、香りと熱気を楽しむこと。

「二ノ丸温泉は近辺でも珍しい、自分で出来るセルフロウリュなんですよ。
このサウナストーブも本場フィンランドの薪ストーブタイプで、実は全国にたった二つしかないんですよ!もちろん関西ではここだけなんです。」

「そうなんですか!薪ストーブのサウナは初めて見ました。」

「この薪も、実はみかんの木なんですよ。この地域で不要になったみかんの木を、地元の農家さんに分けてもらって再利用しているんです。」

「それは地元に暮らす私たちにとって嬉しい循環ですね。」

しばらくすると会話が自然と終わり、吹き出る汗に想いを馳せる瞑想のような時間が流れました。

サウナはテレビが点いていたり、音楽が流れている空間という固定概念がありましたが、
二ノ丸温泉のサウナはBGMが自然の音のみなんです。
鳥の声、川のせせらぎ、木々が揺れる音…全てが心地よく感じました。

ロウリュで体感温度が急上昇して汗が吹き出たところで、
いよいよ天然の水風呂である「目の前の滝つぼ」へ向かいます。

川の清流で火照った体を冷やす

という、極上のととのい体験ができるのも
このロケーションだからこそ味わえる醍醐味の一つ。

小さい頃から水遊びといえば海だった私にとって、川に入ること自体も初体験でした。
足をつけるとつま先が縮こまるほど冷たかったけど、不思議と体がどんどん前へ進んでいきます。

大きく深呼吸して沈むと体中の力が一気に抜けて、気づくと川の水面に体が浮いていました。

目の前には勢いよく落ちる滝つぼ、上を見上げると笑いかけてくれているような木々の眼差し。
なんだか自然に包まれているような気分になって、心と体が解放された瞬間でした。

川の水の冷たさが心地よくなってきたところで、サウナ小屋前の薪風呂へ。
こちらの薪風呂は一人で足を伸ばしてゆったり入るも良し、
家族や友人と一緒に入るも良しの広々としたお風呂です。
体が緩まって、なんとも言えないリラックス体験でした。

味を占めた私は、第二ラウンドへ。
二度目のサウナ小屋では「キューゲル」というアロマ水を凍らせたボールを使ったロウリュを体験しました。

※キューゲルロウリュ
アロマ水を凍らせたボールをサウナ石の上で溶かすことで蒸気を発生させ、室温をじっくり上昇させるロウリュ。

ロウリュの蒸気をタオルやうちわで仰いで起こす熱波とは違い、
キューゲルのロウリュは静かで、じわじわと芯から温まるような感覚。

氷が少しずつ解けていく様子は視覚的にも楽しく、すっかり癒されました。
薪が燃える音(パチパチパチ、パチパチ…)が室内に響いて、焚き火を眺めているようなリラックス効果がありました。

サウナ小屋を体験して私がもう一つ嬉しかったポイントは、男女一緒に入れるところ。
頭の中を空っぽにして「ぼぉーっとリラックスする時間」を誰かと共有すること自体、
私にとって初めての経験でした。
今度は家族水入らず、サウナ小屋で”ととのい体験”をしてみたいなぁ。

体が温まったので、今度はサウナ小屋前の水風呂(五右衛門風呂)へ。
こちらの五右衛門風呂も薪風呂なので、沸かすと温浴としても利用できるんです。
川の冷たさを体感した後に入る水風呂は、温度が心地よくて最高でした。

そして少し熱が冷めたところで、「雲の上の座り心地」だと噂のインフィニティチェアへ。
よくあるサウナチェアのような、座った瞬間のひんやり感がなくて驚きました。

ごろんと寝そべって空を見上げた瞬間、脳裏に浮かんだ言葉は「極楽」の二文字。

頭上に広がる木漏れ日を感じながら

「わたし、生きてる」

という感覚を取り戻したんです。
言葉にするのは難しいけれど、野生にかえったような感覚でした。

サウナ小屋を後にして向かったのは、二ノ丸温泉。
天然温泉でしっかりと汗を流します。

入浴シーンはアッシーさんとお仲間さん達にお任せしました。(笑)
温泉内の露天スペースにサウナと水風呂があって、大自然の中で外気浴と森林浴が同時にできるのも二ノ丸温泉の魅力の一つ。

そしてお風呂上がりの一杯に欠かせないのがオロポ(400円)
オロナミンCとポカリスエットを混ぜたドリンクで、
サウナ後のドリンク「サドリ」としても有名です。

スルー厳禁!究極のサ飯

お風呂で汗を流したら、塩分補給が欠かせない!
ということで、ここでお待ちかねのラーメン登場です。

ラーメンGP1位にも輝いた行列ができるラーメン店「ストライク軒」の
二ノ丸温泉店でしか食べられない味を是非とも食べていただきたいんです。

まずご紹介するのは、お風呂上がりの一杯におすすめTHE昭和レトロラーメン(900円)

後味さっぱり!澄み切ったスープが体に染み渡る一杯。
その名のとおり昔ながらの懐かしい味で、昭和感のある器も可愛らしいですね。

そしてストライク軒の定番と言えば、やっぱり特製二ノ丸BLACKラーメン(1,300円)

生みの親である芦田さんに美味しさの秘密を聞いてみました。

「湯浅はお醤油が美味しいので、その味を生かすために
ラーメンをお出しする直前に追い醤油をしてるんですよ。
醤油そのものを最後に足すことで、醤油本来の風味と旨味をしっかり感じていただけるんです。」

「なるほど。メンマやチャーシューもしっかり味がついてますね。」

「うちはメンマもチャーシューも全て自家製なのが自慢なんです。
自分の手でじっくり炊き上げることで、納得のいく味に仕上げています。」

お次は隠れファンが多い特製塩レモンラーメン(1,300円)

程よい酸味のあっさり&コクのあるスープと細麺が絡んで抜群の美味しさです。

そして最後は私イチオシの特製二ノ丸つけ麺(1,100円)

旨味たっぷりの昆布水に絡んだコシのある細麺がまず美味い!
初めての方は是非一口目に麵だけすすってみて下さい。

その次に和歌山県の名産品「ぶどう山椒」と湯浅町の「藻塩(もしお)」につけると、
麺本来の味が際立ってこれまた絶品。
そして最後に熱々のスープにダイブッ!
味が一新して口の中に肉汁が広がります。

日本人に必要な休息時間

二ノ丸温泉を堪能し尽くした私は芦田さま御一行に別れを告げて下山。
町中に帰ってくると思わず
「現実世界に帰ってきたなぁ…。」と、呟いてしまいました。
この気持ちはなんだろう…。
そう、非日常的なテーマパークから帰ってきた時のような、あの余韻です。

帰宅後はすべてを忘れて布団へ倒れ込み、気付くと朝が来ていました。
肉体的にはもちろん、精神的にもこんなにスッキリした朝は久しぶりでした。

そんな翌朝強く感じたのは、

日常の忙しい喧騒から離れ、自然しかないこの場所で本来の姿を取り戻す極上のサウナ体験は
現代の日本人に最も必要な時間かもしれない

ということです。


地元にまた、「大事な人を連れていきたい場所」が増えました。